「大丈夫です」って、どういう意味? ― 日本語のあいまいさと、ハイコンテクスト文化 ―
2026.01.27
「大丈夫です」って、どういう意味? ― 日本語のあいまいさと、ハイコンテクスト文化 ―

ある留学生が、コンビニエンスストアでアルバイトをしていたときの話です。レジで「袋はいりますか?」と聞くと、お客さんから

「大丈夫です」

と言われました。このとき、彼はこう悩みました。
「 大丈夫って、いるという意味?それとも、いらないという意味?」

「大丈夫」は本来、問題ありません、心配いりません、OKです、という肯定的な意味の言葉です。
でも、日本語の会話ではよく、こんな使われ方をします。

「袋はなくて大丈夫です」
「今日は来なくて大丈夫です」

この 「〜なくて」が省略されて「大丈夫です」だけが残ることが、とても多いのです。つまり、コンビニの場面では

「(袋は)いらないです。なくて大丈夫です」

という意味になります。
ポジティブな意味の言葉が、ネガティな意味で使われることがあるのが、留学生の皆さんにとって、日本語の難しいところかもしれませんね。


なぜ、日本語はこんな風に、省略する言葉があるのでしょうか。

これは、日本語がハイコンテクスト(High Context)な言語だからです。
ハイコンテクストとは、状況や相手の表情などを前提にして、言葉を最後まで言わないコミュニケーションのことです。『空気を読む』という言い方をします。「全部言わなくても、わかりますよね?」という考え方なのです。はっきり言うと、相手が傷ついてしまうかもしれない、そんな配慮をしているのです。

レジ袋がいらないときに『いらないです』というと、冷たい言葉だと思われてしまいます。
そうではなく、やわらかく、あいまいな表現として、『(なくても)大丈夫です』と言うのです。
他にも、「結構です」「いいです」という言葉も、「大丈夫です」と似ていて、トーンや場面によっては否定的な意味でも使われることが多いのです。

ここで、皆さんに伝えたいことがあります。
微妙な日本語のニュアンスは、難しいものだから、わからなくても落ち込まないでください。アルバイトや職場で困ったときは、こう聞き返して大丈夫です。
「袋は、いらないということでよろしいですか?」

確認することは、失礼ではありません。むしろ、「丁寧だ。安心だ。」と評価されます。

このように、日本で働く中で、「言葉より、空気を読む」場面に出会うことがあります。それも含めて、日本で働く経験です。困ったときは、ぜひ私たちにも相談してくださいね!